耳に痛み、痒み、出血の64歳男性 原因はハエの幼虫(ポルトガル)
耳の痛みなどを訴えて病院を訪れた64歳の男性の耳の中から、ハエの幼虫であるウジが摘出された。男性はポルトガル在住で、先月24日の医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)』に症例が紹介され話題となっている。『New York Post』などが伝えた。
ポルトガル北西部マトジニョシュにあるペドロ·イスパノ病院(Hospital Pedro Hispano)に駆け込んだ64歳の男性は、このような症状を訴えた。
「左耳が痛く、痒みがあるうえ、出血するようになって5日になる。」
そして検査の結果、医師は男性の左耳の外耳道の中で蠢くウジを発見。中を洗浄し、特殊な耳用鉗子を使ってウジを摘出した。鼓膜の一部は穿孔しており、男性はハエの幼虫が侵入して発生する感染症「蠅蛆(ようそ)症」と診断を受けた。
男性を担当したカタリナ・ラトー医師(Dr. Catarina Rato)は「ウジは円柱形で体節があり、白っぽい黄色のボディをしていた。これはラセンウジバエの一種である」と説明しており、診察を受ける男性の耳の中を捉えた動画では、ウジの動きがかなり活発であるのが見て取れる。
このハエは「新世界ラセンウジバエ」とも呼ばれ、動物の傷口などに卵を産み付け、孵化した幼虫が寄生、組織を食べて成長する。中南米、ジャマイカやキューバなどのカリブ海域の島に生息し人間にも寄生、特に牛などの家畜は被害が大きく、放っておくと死に至る。ただ傷口だけでなく、人の体の中に偶然侵入して感染することもあるそうで、口や耳、鼻、泌尿生殖器、胃腸管などでウジがわくケースもあるようだ。
ラトー医師は、この男性の治療に抗生物質の点耳薬、ホウ酸水、抗生物質の内服薬を使用、幸いにも深部組織へのウジの侵入はなく、最初の診察から7日後の検査ではウジは発見されなかったという。
ちなみに昨年には、アメリカ在住の62歳の女性が「皮膚蝿蛆症」を発症、皮膚の下にハエの幼虫が寄生して摘出手術を受けていた。女性は南米コロンビアに旅行し、現地で蚊に刺されていたという。
画像は『New York Post 2022年12月8日付「My earache was actually a potentially fatal revolting infestation」(Jam Press)(Jam Press Vid)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)