解剖実習遺体からプリオン 世界初、感染の危険 長崎大
長崎大は15日までに、大学の医学部などで行う解剖実習で使うために提供された遺体を調べた結果、1体からプリオン病の病原体となる異常型プリオンたんぱく質が検出されたと発表した。プリオン病と未診断の解剖実習遺体からプリオンが発見され、同病と確定したのは世界初という。
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プリオン病は致死性の疾患で、急速に認知症が進む「クロイツフェルト・ヤコブ病」などがある。プリオンはホルマリンに漬けても不活化されないため、解剖時に感染する危険があるという。論文は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。
長崎大の研究グループは2011年に開発した高感度のプリオン検出技術を使い、20年度から解剖遺体の脳内に含まれるプリオンの有無を調べていた。その結果、21年度に39体中1体から検出され、病理検査によりプリオン病と確定した。
同大の中垣岳大助教(ウイルス学)は「解剖に不慣れな学生らが細心の注意を払う必要があることが改めて示された」と話している。