山手線で心肺停止!50代医療ライターが見逃した2週間前の予兆「毎日同じ時間に、同じ場所が」
日本では、いわゆる「突然死」で亡くなる方は年間およそ10万人。じつに7分に1人が命を落としていることになります。その原因として最も多いのが、心筋梗塞や狭心症、不整脈などの「心疾患」です。
【写真】山手線で心肺停止後に、奇跡的に回復⋯⋯ ! ICUから入院生活へ
そんな突然死の危機から奇跡的に生還したのが、医療ライターの熊本美加さん。倒れた後にも待っていたあらゆる苦難を乗り越え、日常生活に戻るまでを詳細につづった記事は、Twitterで大反響を呼びました。
そんな「甦りルポ」がマンガ化。主治医の東京都済生会中央病院・鈴木健之先生の監修で、万が一に役立つ情報も盛り込んだ一冊の本になりました。今回はその『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』から、実はちゃんと訪れていたある日の“予兆”についてご紹介します。
お酒大好きで毎日晩酌は欠かさなかったものの、毎年の健康診断は「問題なし」。また職業柄、健康に関する知識は人一倍あったはずの熊本さんが、それでも見過ごしてしまった“異変”とはーー?
心停止はある朝突然に
医療ライターとして活躍する熊本さんは独身、一人暮らし。50代となり更年期の影響を感じつつも、健康診断の結果は毎年「問題なし」。職業柄、健康に関してはそれなりに詳しいという自信もあり、命を脅かす病気などどこか他人ごとのように思っていたそうです。愛する猫たちに囲まれながら、仕事の後には大好きなお酒を楽しむ。そんな穏やかな日々がいつまでも続くと思っていました。
ところが……。
ある日の朝、熊本さんの身体をある異変が襲います。
この時は何とかやり過ごしましたが、その後も同じ時間帯に胸の痛みは襲ってきました。しかし熊本さんは、「しばらく横になっていれば治るし」「健康診断の結果は問題なかった」「ストレスが溜まっていたのかも」と、結局は病院に行くことはなかったのです。
この時に病院に行っていれば、おそらくは詳しい検査を受け、適切な治療が行われていたはず。少なくとも心停止で死の淵を彷徨うことはなかったでしょう。「自分は大丈夫」という過信が、大変な事態を招いてしまったのでした。
本書の監修を手がけた鈴木先生は「定期的な健康診断だけでは心臓疾患は見つけられない」と言います。
「受けないよりは受けた方がもちろんいいですが、循環器系の検査はたかが心電図一枚。それで心疾患を見つけるのは至難の業でしょう。心臓の病気を検診で防ぐとすれば、糖尿病、コレステロールの異常値、高血圧といった動脈硬化の危険因子を早期発見し、早めに介入する。そうすることで、将来の心血管疾患を予防することはできます。しかし、心臓病の早期発見はできません。症状があったら早めに受診をすることのほうが大事ですね」
熊本 美加
東京生まれ・札幌育ち。医療ライター、性の健康カウンセラー。大学卒業後、広告制作会社などを経てフリーライターに。更年期ウイメンズ&メンズヘルス、性感染症予防・啓発、性の健康についての記事を執筆。2019年に電車内で心肺停止で倒れ救急搬送され蘇る体験以後、救命救急、高次脳機能障害、リハビリについても情報発信中。
上野りゅうじん
2017年「うちのへそ曲がり!!」でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵などを担当。『オカン DAYS』(講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理著、講談社)、『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』(KADOKAWA)がある。
漫画/上野りゅうじん
構成/山崎 恵
熊本 美加