歯周病の恐ろしさは、口の中だけでなく全身に影響すること。糖尿病の悪化や脳の機能低下を招く

歯周病の恐ろしさは、口の中だけでなく全身に影響すること。糖尿病の悪化や脳の機能低下を招く

 

マスク生活の定着で、お口のケアがおろそかな人が増えているようです。口の中の状態の把握は、エチケットとしてだけでなく、健康維持や病気予防の面からもとても大切。『婦人公論』世代が心がけたい対策を専門家が伝授します(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

 

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◆糖尿病の悪化や脳の機能低下を招く

 

歯周病の恐ろしさは、全身の健康に影響するところ、と野村先生は強調します。その一つが、歯周病菌が放出する内毒素により産生される「炎症性サイトカイン」というタンパク質。これが、血糖値を下げる働きをもつインスリン受容体を攻撃し、糖尿病を悪化させるというのです。

 

「また、歯周病菌が血管に入ると、血管壁の炎症を招いて心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしたり、アルツハイマー病の要因となる脳内のアミロイドβの産生を促すこともわかっています」

 

歯周病のもたらす全身への悪影響はそれだけにとどまりません。

 

「歯周病が進行して歯を失うと、する力が弱まって栄養不足を招き、体力も減退。さらに、ものを噛む行為により五感からの情報が脳に送られるのですが、噛む力が弱くなると脳の機能を低下させてしまう恐れもあります」

 

歯周病を予防するには、まずはていねいな歯磨きが基本です。

 

「どんなに歯磨きをしていても磨き残しは避けられないため、半年に一度は歯科検診を受け、歯のクリーニングを。むし歯も歯を失う大きな要因ですから、むし歯が見つかったらしっかり治療しましょう。また、骨粗しょう症を防ぐために、毎日の食事でカルシウムを摂ることも心がけてください」

 

野村洋文