肥満の原因にも!?「気候変動」が健康に与える悪影響と、それを防ぐためにできること

肥満の原因にも!?「気候変動」が健康に与える悪影響と、それを防ぐためにできること

 

一部の温暖化現象は分かりやすい。その一例が気温の上昇。ここ数年は史上最高に暑い年が続いており、世界各地が山火事や暴風雨などの異常気象に襲われている。でも、温暖化の影響は、ときとして驚くほど忍びやか。

 

今回は、気候変動が私たちの健康に与える悪影響とそれを防ぐためにできるアクションを見ていこう。

 

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

 

1.肥満

公共衛生学専門誌『The American Journal of Public Health』掲載の論文によると、気候変動による干ばつは食品価格の上昇をもたらし、それが肥満人口を増加させる。これは、干ばつがヘルシーな食品(野菜、果物、乳製品、卵、食肉)の値段を上げる傾向にあるから。

 

2.栄養失調

気候変動の影響で、食品の栄養価も低くなる。アメリカの地球変動研究プログラムによる気候評価の結果、大気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、穀物に含まれる窒素とタンパク質、野菜とフルーツに含まれるカルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンが減少することが分かった。

 

3.ホルモンの調子が狂う

同じくアメリカの気候評価の報告書によると、気温の上昇は雑草の成長を加速させるため、除草剤の使用量が増えてしまう。しかも、アメリカでもっとも広く使われている除草剤『ラウンドアップ』は、ホルモンの正常な作用を妨げる疑いがあるそう。

 

4.魚の汚染

過去の国連会議で科学者たちは、気候変動で食物連鎖内の水銀濃度が高くなる可能性を指摘した。北極圏の永久凍土は、大気中の水銀をガスとして溜め込んでいる。よって、北極の氷が溶ければ、大気から水中に入り込む水銀の量が増え、魚の脂肪組織に蓄積することになる。

 

5.先天異常が増える

妊娠初期に母体が高熱を出すと先天異常の確率が高くなることは、すでに数々の研究で証明されているけれど、実は熱波や猛暑にも高熱と同じ作用がある。妊娠中に熱波を経験すると、胎児が先天性白内障(予防可能な失明の主な原因)になりやすいという研究結果も出ているそう。

 

気候変動を防ぐためにできることとは?

これだけ聞くと、かなり怖い。でも、気候変動を“避けられないもの”として受け入れる必要はない。5つのアクションで、今日からこの問題と闘おう。

 

①オーガニックにこだわる

Getty Images

 

有機農業は、エネルギーの使用量が45%少なく(これで温暖化を引き起こす化石燃料のニーズが減る)、温室効果ガスの排出量が40%少ない。しかも、有機農業には『ラウンドアップ』のような除草剤、DNA損傷や不妊、精子数の減少につながる化学物質が必要ない。

 

②地元の農家と直接取引

アメリカの地元密着型農業プログラムでは、生育期が始まる段階で消費者が生産者から直接作物を購入できる。だから、スーパーの食品価格が上がったときに、安くて不健康な食品を買ってしまうことがない。

 

③暖房を弱める

そうすれば、エネルギーが節約されて、温室効果ガスの排出量が大幅に減る。しかも、肥満学専門誌『The International Journal of Obesity』に掲載された2006年の論文によると、寒いときは体を温めるために代謝が上がる。だから、体重が減りやすい。でも、半袖でいられるくらい暖房を効かせると、体が自分を温めようとしなくなる。

 

④もっと歩く

世界保健機構によると、もっと体を動かせば心疾患や糖尿病で亡くなる人が推定320万人も減る。にもかかわらず、世界の温室効果ガス排出量の約30%は輸送によるもの。予防医学専門誌『Preventive Medicine』掲載の論文によると、車を使うかわりに1日1.5km余分に歩けば、1日のカロリー摂取量を100kcal減らしたときと同じくらい体重が減るそう。

 

⑤お肉を減らす

これは、あなたにとっても、地球にとっても、動物にとってもプラス。動物性食品の摂取量を30%減らせば、心疾患のリスクが15%低下する。また、農業は主に動物の飼育が原因で世界の温室効果ガス排出量の12%を占めているそう。