がん早期発見を(9月6日)
浅川町出身で、がん研究の先駆者・吉田富三博士は一九四三(昭和十八)年、移植可能ながん細胞「吉田肉腫」を発見した。生きた細胞だけを取り出して自由に使えるようにしたことで、化学療法への道を切り開いたとされる▼成功の影には多大な努力があった。ドイツ留学で得た知識を基に、破砕したがんをネズミの腹に注入し、試行錯誤を重ねた。寝食を忘れるほど実験に没頭した。実を結んだのは五年後、ネズミの腹から採取した液体を顕微鏡で確認すると、生きて増殖するがん細胞が浮いていた▼日本対がん協会によると、二〇一八(平成三十)年にがんで亡くなった人は約三十七万人。一九八一年以降、死因のトップであり続けている。罹患[りかん]部位は男性は肺、女性は大腸が最も多い。日本人の二人に一人がかかると言われている。もはや身近な病気と言っていい▼予防だけでなく、早期に発見することが最も重要になる。早ければ早いほど治療の効果が高くなり、死亡率も下がる。博士は、がんは全身病であると警鐘を鳴らした。どこにでも発症する可能性がある。九月はがん征圧月間。積極的に検診を受けて、自分の体をくまなく調べてみてはどうか。
⇒ 当院では、鼻・のどの癌チェックができます。